Interview SHINICHIROINUI アートの原点、そして新作"LONELY?"について。

新作アート&スペシャルな一点物ファッションを集めた展示会「LONELY?」
開催記念に、アーティストSHINICHIROINUI氏本人にお話を伺いました

 

乾シンイチロウ/SHINICHIROINUI
アーティスト
大阪府東大阪市出身

18歳から単身で渡米。
オレゴン大学芸術学部で学士(BFA)取得後、活動拠点を大阪に移す。
2012年にアパレルブランド「guernika」を設立。
作品にはペインティングやコラージュ、油彩画、写真、映像、さらにはファッションツールまで、多様な素材や技法を駆使しており、現代社会のSNS問題や消費主義のファッションやアートについての問題定義を掲げ制作する。
アーティスト本人が手がけるブランド「guernika」では服やバッグにペイントを施すなど、アートとファッションの垣根を越えた新しいクリエーションの世界を提案しています。

2009年 アメリカ オレゴン大学アート学科卒業
2011年 第2回WALL AUDITION(H.P.FRANCE主催)大賞受賞
2012年 アパレルブランドguernika設立
2014年 ベルリンの壁崩壊25周年記念 ドイツ大使館壁画を製作
2015年 株式会社SHINICHIROINUI設立
2015年 5月大阪高島屋 1Fエントランスでの展示、販売会を開催
2015年 UltraNewGallery(原宿)で個展を開催
2016年 NYのJadite galleriesで個展を開催。
2017年 NYチェルシーにあるOnishi Galleryでグループ展に参加
2020年 ARTNOW Gallery in Raffles Hotel 常設展示
2021年 DAEGU Art Fair 2021 参加

ーーアーティストとしての活動を始めたきっかけを教えてください。
乾氏:
元々は音楽がすごく好きで、16歳の頃からバンドをやっていました。
ジャンルはロックや当時流行っていたミクスチャーとか。
自分たちで曲を作ったりもして。ですが次第に自分の頭の中でイメージしているものを、音で表現する事に限界を感じるようになったんです。 
そこで、子供の時から好きだった絵で表現するのはどうかと思い始めました。2005年に京都で開催された「アミューズアートジャム」という絵のコンテストに応募してみたら入選して、自分の作品が京都文化博物館に飾られて、すごく自信になったんです。
それが21歳の頃。本格的に絵の方に力を入れ始めたのはそこからです。

ーーポップアートから影響を受けた作品が多く見られますが、きっかけはありますか?
乾氏:アートをやり出した当時、もっと本場を見てみようと思って一人でNYに飛んで。色んなギャラリーや展示会を見て回って、そこで現代アートに出会って感銘を受けました。
日本の芸大だったら多分この表現は出来ない、と思ってアメリカのオレゴン大学のアート学科に入学して一からアートを学びました。

そこから日本で活動するために帰国しましたが、日本ではアメリカ以上にアートを売るという文化が無くて、苦労しましたね(笑)

ーーそこからどうやってguernikaが生まれた?
乾氏:
2011年にH.P.FRANCEが主催したWALL AUDITIONという次世代アーティスト募集のコンテストで大賞を受賞して。その受賞イベントで壁一面に並べたTシャツに絵を描いて、グッズとして売り始めたのがはじまりです。
そこで服を買ってくれる若い人が結構居ることに気づいて、自分が服に絵を描いてそれを買った人が街を歩いたらそれ自体が新しいアートの形になるんじゃないかと思ってアートの発信ツールの一つとしてアパレルブランド「guernika」を作りました。

ーー服以外に、バッグなども展開していますね。きっかけはありますか?
乾氏:
guernikaで服を売ってるうちに、バッグとかの立体物に絵を描いたらアートとして面白いんじゃないか、と思い始めて試しに作ってみたのが始まりです。立体物として面白いし、綺麗だと思ったから。それが結構評判が良くて、今でも続いてる感じですね。

ーー"ファッション"についてどう考えていますか?
乾氏:
実は、元から服は好きじゃないんです。guernikaはあくまでもアートの表現の一つとしてあるので、自分自身がファッションを突き詰めること自体には全く興味はないですね。
こう言ったらなんか、愛ない感じに聞こえますかね(笑)
guernikaのファッションから僕のアートに興味を持ってくれたら嬉しいのはもちろんですが、純粋にファッション好きな方達がguernikaを見て第一印象として可愛いと思って着てくれるのもめっちゃ嬉しいです。


ーー現在東京・代官山で開催中の展示会『LONELY?』にはどんな想いで挑んだ?
乾氏:アートって「今」を切りとる作業だと思っていて、今回の展示会「LONELY?」もコロナ禍の今で感じたものを作品として落とし込もうと思って開催しました。
コロナ禍になってからのこの2年間、「孤独」と「孤立」っていう二つのキーワードがずっと頭の中にあったんです。
外でのコミュニケーションが減って孤独になり、人付き合いが希薄になって孤立しちゃう人が増えた。ずっと家に篭ってますからね。
でも、失ってから気付くというか、気軽に遊びに行ったりできなくなってから改めてそういう時間の大切さを知ったし、共通の敵が現れてみんなの結束力みたいなものは強まった気がします。家族や友人に声をかけあったりね。
「LONELY?」っていうタイトルに《あなた独りですか?》という質問系を使ったのは、その「独り」っていうのが本当に独りなのか?っていうみなさんに対する問いかけです。
質問を投げかけることで、今の環境を改めて認識してくれたらと思っています。

 

ーー「孤独」と「孤立」は違う?
乾氏:僕は、人間とは誰しもが元から孤独なものだと思ってて、「孤独」は悪いことだと思ってないんです。
ただ「孤立」はコミュニティがなくなって独りで生きていく、社会と繋がりのない寂しい人たちだと捉えてて。今回の展示会のアートは若くして亡くなったミュージシャンとかを結構テーマにして扱ってます。
これもみんな「孤独」から「孤立」になった人たち。「孤独」だからいい作品が生まれるんだけど、それで有名になることで、周りの印象と自分の本質にギャップが生じて、「孤立」になる・・・。それが、死に繋がる。
そういう「孤独」から「孤立」に変わるのを、コロナ禍の人々と照らし合わせて考えてます。「孤立」した人がまたコミュニティに参加できるような時代に戻るのを願って作品を作りました。

個人的には、子供とゆっくり過ごせる時間が増えていい時間だったなとポジティブに考えています。
でもこのままじゃダメだから、これをベースに復活させたいですね。

ーー今後の展望をお聞かせください。
乾氏:
まずは、やっぱりこの2年間海外の展示会に行けてないので、行きたいかな。そして、新作のアートもどんどん海外に発信していきたいです。
guernikaのアートの宣伝ツールとしての機能は順調にいっていると思うので、このまま全力で頑張っていきたいと思っています。先程の質問でも言いましたが、自分でファッションをアピールするのはやはり好きじゃないので、guernikaに興味持ってくれる色んなブランドとコラボしたいと思ってます。僕からファッションを提案したいというよりは、僕のアートを使ってくれるブランドとコラボしたい感じですね。これ、太字でお願いします(笑)
お互いにguernikaを宣伝のツールとして使って、一緒にいい物を作っていけたらいいなと思います。

ーーアーティストとしての最終目標は?
乾氏:『現代アートで世界で活躍したい』っていう根底の想いは変わってなくて、世界中の人に自分のアートを知ってもらうのが最終目標です。
11月から始まるDAEGU Art Fair2021の参加をスタートに、今後は海外のアートフェアとかも積極的に参加していきたいと思っています。
アートの幅も広げて、"DRIPシリーズ"みたいな、オブジェとかフィギュアとかの立体アートもさらに作りたいです。

【Art&Fashion新作展示会『LONELY?』】
開催場所:〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町27-4 ROYAL FLASH 代官山店3F
開催期間:2021年10月23日(土)〜2021年10月31日(土)
※ご来店の際は感染症対策の為、マスクの着用とご来店時の消毒にご協力をお願いいたします。


ROYAL FRASH オフィシャルホームページ
https://www.royalflash-jp.com

SHINICHIROINUIオフィシャルホームページ
https://shinichiro-inui.net

guernikaオフィシャルホームページ
https://guernika.jp